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Life海外安全

人生初の市街地想定訓練に一般参加一番最初に学ぶべきなのはマズルコントロール

By 2022年10月10日No Comments

危機管理訓練を受けてきた。画像は拾ってきたもので実際の映像とは違うが自分はランニングロンTで長ズボンで参加の中ほかの参加者は画像の人物と似た格好をされていた。

初めて内容しかなく、午前午後と終日にかけて驚くばかりのいろいろな体験をしたので記していきたい。今回はその中でも重要なルールについてと自分の経験で考えさせられるテーマがあったのでまずはそのことに触れる。

昼から日が暮れるまで技能訓練とシミュレーションによってひたすらシナリオをこなす。

建物の中に数人の敵を忍ばせて制圧する。建物をショッピングモールと見立てて無差別殺人が起きる。議員とそのSPが人質となり立て篭もるテロ組織を制圧する。などなど

開始までは何が始まるのかを知らずに参加していた。人の紹介ともあって縁で参加していたからだ。

エアガンの銃を借りるとその重さに驚いた。マガジンをセットしようと場所を探ったりすると気づかずに銃口が上を向いたり人にむいてしまう。これは実弾を想定した訓練では一番やってはいけないこと。銃を渡して下さった方が不用意にあがった銃口を丁寧に注意しつつグッと地面へ押しやる時にはっとする。

マガジンの装填が終わり流れもわからず立っていると、他の参加者の方達がさっきまでいた軽装から各々が乗ってきた車の後ろから迷走服や装備品、銃を慣れた様子で見につける「猛者感」がすごい。

どうやら趣味で上達された人だけではなく現役の自衛官の方などのプロの方も参加されている。ここまで書くとわかる人はわかってしまうかもしれないがその施設を取り仕切っているのは元警察・陸上自衛隊・海上自衛隊の特殊部隊出身の方達が運営されているので自費で自らの技術を研鑽する現役の猛者が集まる場所になっているのだ。

エアガンでわいわいやってるサバゲーのイメージしかなかったけど渡された銃の重さや周囲の参加者の雰囲気からしてそうじゃないことだけはひしひしと感じ始めた。これはまずい他の真剣に訓練されている方達の足手まといになる。必死に初心者であることを訴え本当に参加しても大丈夫なのかを再度伺う。すると「気にしないでください。実際にチームは様々な人と組むことがありますし、誰かは初心者で参加する必要もよくある、そういった時の振る舞いも含めて訓練になるんです。」とのこと。た、たしかに。実際その訓練の参加資格はまったくの未経験者でも男女問わず18歳以上なら

気づけば経験順で列をなし最初に突入時の先頭に立ち合図を待つ。構え方も何も知らん。けどいかなあかん。

入口に近づくと死角に相手が潜んでいるだろうことはわかっていた。けど自分は建物すら入れずに入口手前で何回も死んだ。

相手が潛んでいるとわかっていて撃たれるのは自分が相手に見えてないつもりで無駄な動きがあったり。自分からすると隙間にもならないBB弾の限界の隙間から狙っているので通常の生活レベルでは絶対に意識しないだろう隙間が命取りになる。さらに自分の場所がバレないようにゲームのような無駄打ちがなく自分が打たれて死ぬときは不意なので「危ない」とすら思わなかった。かつ皆さん大概ヘッドショットで的確に殺しにくる。ゴーグルならまだしも何も被ってない頭に当たった時めちゃ痛かったので休憩時間に慌ててプライベート用のキャップを引っ張って被る。

自分のすぐ後ろの経験者の方でも入口でやられることがあり難易度は低くはない。けど後ろに続く中級・上級者の方は連携をしつつ2人同時、3人同時など数的有利を作りつつ相手を射殺もしくは後退させることで相手を追い込んでいく。数的有利がなぜ良いかというと単純に自分が1人を撃っている間は壁の隙間から銃口なり身を少し晒す必要がある、その際に向けられてる銃口が複数になると撃たれる可能性が大になるという具合。

また相手がこちらに銃口を向けているとまだ銃口を向けられていないこちらに対して優位になるのだけれど、そのような状態でなぜ前に進めるのかというと銃弾が早いのはもちろんだが、人間が物を見て狙ってトリガーを引くまでの反射速度の限界がありその目安となる「0.2秒」の間を縫って攻防が行われる。

入口付近の自分の屍を超えて上級者は突入時に違いの死角を補完するように部屋の中に連動して入り的確に指示をだしている。本来は屍役にも意味があるのでその場に止まる必要があるが経験の浅い人たちは死んだ後も中の様子を見学することができる。

実戦を想定しているので緊張感も張り詰めていて主導権争いに必要な獰猛さがまた迫力を増加させる。全く知識がなくても動きの異常さ無駄のなさは何となくわかる。

いくつかこなした後に、初級者は座学の時間を設けられていろいろ学ぶことができる。午前中も座学を行ったが実戦を通じて改めて重要なことを絞って伝え、実戦で沸いた疑問を質問することができる。当日学べたことが非常に多かったのでいくつか書き記しておきたい。

その午後の途中でうける座学の中に施設内では受講者の昇級制度があり、一番最初の初級者から中級者までの昇級に必要なのは一点「銃口管理・マズルコンシャス」ができていれば昇級できるらしい。

銃口管理とは銃口の向きをしっかりとコントロールすることで、トリガーを引く以外の暴発の可能性なども含めて安全に配慮すること。よく繰り返しメッセージされているのでそのままの通り簡単に解釈すると「絶対に味方に向けるな」ということ。とてもこれが奥深い。

自衛隊では世界的に見てもこれが比較的徹底されており、特殊部隊で仮にこれができなければ即外される要素にもなる基本中の基本。でも実はこれは他の海外の軍隊では一部の先進国など限られたところでは実施されているが、街中を歩く軍人や強いと有名な軍隊でも銃口管理や基礎的な所作によってその兵隊の強さや練度がわかる人にはわかってしまうほど重要なものなのだ。たった一度の訓練を受けた自分でもコントロールができないにせよそのような視点で観察することができてしまう。

A国がB国の軍事協力や教育を支援。という動画が出た際に自分などはそうかその国の協力が得られる関係にあるのか、教育やバックアップがあればB国は強くなりそうだなあくらいにしか思わないが、どの動画の所作で体たらくを見て、民間軍事会社の存在やニュースの意図とは違いどれだけお粗末で弱いかをわかる人がみればわかってしまう。そのような人が日本組織の海外セキュリティの世界で帯同・コンサルを行う世界がある。

「味方に銃口を向けない」ことを徹底することは実銃としての訓練では必須であろうし、それができて初めて実銃のための訓練が始まるメンタルと技術の素養ができるのかもしれない。また仲間として信頼をするための最低限のルールという意味でこの昇級に必要な条件がシンプルかつ強調されているのも頷ける。

実際、実銃を想定したルールと全く違う自分の経験上でも思い当たる節がある。例えば社会人になって個人フットサルをした時に驚いたのは、味方を味方と思えない瞬間が多くありかつそれが最早スタンダードになっている点がある。攻めるけど守らない。やりたいプレーしかしない。などなど味方を利用してるだけの人はごろごろいる。競技経験者はそれらに辟易するが「個人フットサルでそれを求めてはいけない」が合言葉になるほどに常態化している。

まだそのような無意識の場合もあれば知識がなくその発想がない、したくても体力がないなど少なからず自分も該当する要素があるが中でも驚いたのは、わざとやる人がいること。自分のマークの相手が上手いからつかなきゃいけないけど見えてないふりして違う人につく(そこにはすでに他の味方のマークがある)他の人に活かせるために距離をとる。パスが来ると困るから気づかないふりをする。わざと隠れる。etc.. 初心者なら全然わかるが数年以上、数十年の経験者が目の前でやることがあるのは衝撃的だった。そのことを他の仲の良い競技経験者に話すとはやはりばれている。ちょっとした出来心なのかもしれないけれど味方やチームを簡単に犠牲にできるのはすごい。

チームスポーツの醍醐味の一つはチームプレーであり、体力も続かず立つのもやっと息するのもやっとの人が最後に限界を超えつつ伸ばす足で相手のシュートを防いだり得点に繋がったり瞬間に感動や感謝で興奮することができる。その選択をせずに本人は「楽しくプレーしたい」というがその行間は凄まじい。ストレスにはネガティブなものだけではなく自分と向き合い研鑽や成長を促す大事な要因であることも確か。スポーツに限らず安易に美辞麗句だけを強調しすぎるものには大人になると怪しさが勝つ。

上手い下手の問題ではなく、たったその程度のことが求められないのかとフットサルや仕事で思うことがある。仕事上その多くは自己保身に走るためそれを正当化すべく矛盾や嘘をつくもしくはそこまで意図せずともその場でおもいつきで話すのでどうしても辻褄が合わなくなる。それが事態の根本である場合には触れざるを得ず本人も素直に認めれば建設的にそのまま前に進めるが逆上することもある。相手にとっては責め苦を感じさせてしまうのは自分の至らなさではあるが、実際には本人が行った言葉を並べて純粋に真意を問うだけでも相手の意思や器によって変わってしまう。

自分も決して人のことを言えたような立場のレベルでもなければ非常に怠惰な性格でも「そんなレベルのことで!!!」と驚いてしまうことがあり、吐き気を催すなどだいたいは不快感として感じることがあるそんな閾値を自分の中ではラインがあるにもどこか曖昧で驚きや自分のリアクションによってその存在を知るため言語化を試みるも定まってはいなかった。

そんな中で練度を上げたいという上昇志向が大前提にはなるが初級者からの中級者という最初のステップに「味方に銃を向けない」ルールを徹底することがどれだけ大きな意味を持たせるのか。また日々自分の感じる不快感の閾値にも味方か味方でないのかといった猜疑心や不信感にストレスを比較的強めに感じることとも似ている点があると思い、訓練上必要で重要なルールというだけではなく、自分のそのラインを明確にすることや避けるためのルール作りとしても大事な情報と経験となった。味方を撃つ撃たない、欺く欺かないを意識無意識の前に自分本位すぎることの弊害を減らすという意味ではかなり機能的に思える。

BB弾=サバゲーでわいわいは全くの誤解で運営者側と参加者側の知見によっては実弾以外は全て現実と同じ状況を作り出し、実戦を通じて学べるだけの環境があった。命のやりとりが行われる極限状態を前提とした訓練や考えにはチームや信頼の意味も重く明確になっている。弾が飛び交う中瞬間の迷いにも思うことは多々あり、たった1日ではあるが終日の訓練の学びをいくつか回を重ねて記録していく。