東京の出張での帰り東京駅でのこと。おみやげエリアで使えるクーポンが手に入ったので何にするのか悩んでいたところ、スタバでも使えることがわかり帰りの新幹線でコーヒーとお菓子を買って映画を見ながら帰る我ながら最高のアイディアを思いついた。
東京駅の改札外にあるそのスタバは一階と2階とに分かれて、メインのカウンターは2階となる。
階段を上がってみると行列があったのでぎょっとしたが特に時間がないわけでもなく、むしろ予約してある新幹線まではかなり時間があったのでとりあえず並ぶことに。
列は二列で注文に並ぶ列と、注文済みの人が受け取りに並ぶ列。たしか小さい案内板がたっていた、奥を確かめるとレジと受け渡し口に続いているのがわかったので並ぶ。で、並んでいる間に何たのむのか陳列やメニューを見ながら考えるとそこまで待つこともなく自分の番になった。クーポンの利用が初めてだったので焦ったが、最初に伝えるとスタッフさんがそれをご存知でQRコードを出したのでそれをスマホにかざし、指示の通りにすすめて認証が得られるページに至るとクーポン分の利用が注文できる仕組み。使用するIDを事前に控えてコピーしていたのでまだよかったが、行列でここをもたもたするのを考えるとすこし怖い。
切なくなったというのは、そのやりとりではなく、無事注文を終えて受け取り列に並んでいた時のこと。
2組の別々のお客さんのやりとりを見て、つらくなった。
受け取り列の方が長い列になっており注文列と比べて進みが遅い。
自分が並ぶと目の前に並んでいたお客さんは若い男の子の二人組で10代か20代くらいで、列の角をまがって進んだあたりでどうも注文列に並んでいないことに気づいたらしい。二人ですこしあたふたしつつも、間違えた照れもあって隠したさもあり二人の間で聞こえるような話し言葉の後にお店を出て行ってしまった。注文列はそのタイミングでは短くなっており、気を取り直してさっと横に並べればすぐにでも注文できた状況だった。
自分はそれを見て何か慌ててるなということと、もしかすると列を間違えたのかな?くらいに察してはいたが確証がなかった。それに注文カウンターはすぐ目の前にあるので修正するだろうと。それにもし列を間違えたわけでもないのに、「そこに並べば大丈夫ですよ」的な声を知らん奴から親切ぶってか声かけられたら怖いか嫌やなとおもって確証に至らずそうだとわかったときに声をかけようと眺めていたら、まさかの二人はそれまでせっかく並んでいたのにそそくさとお店の外にでてしまった。
えっ。と思いがけない行動に驚きつつ、お店の外のキャンペーンポスターを見ながら二人で恥ずかしそうに笑いながら話しているので、再度お店の入り方から見直してるのかなとおもったら、「注文のしかたわからんしなーw」と中からでも聞こえる声量でいいつつそのまま奥へと行ってしまった。
列のことについていつでも声をかけられるように神経をそちらに向けていたのでそのような結果になってしまってとても残念だった。自分にとっては思いがけない結末だった。なんででてしまったんだろうと。。そう考えるとここは東京駅。もしかすると彼らはいつもは東京にはおらず、有名で聞いたことはあっても地元にはスターバックスが無くて初めて来店したのかもしれない。可能性を考えてみた。したら自分がなんとなくわかった二列構成も形は違えどだいたいどこの店にもあること知ってるし、仮に間違えても並び直せばいいだけのことを、初めてのあのスターバックスで仕組みも右も左もわからずドキドキ期待と不安を高めていただろう二人が、あろうことか並ぶ列もわからずにテンパって恥ずかしさや場違い感のようなものを勝手に感じて居心地のわるさから出て行ってしまったのかと(一人勝手に)おもうと、とても辛くなった。せっかくのスタバの挑戦がつらいものに、、次のスタバ挑戦はいつになるんだろと。。
とか思っているとなんと、全く別の女の子の二人組、また同じような年代が後ろに並んでいて、列の曲がり角を曲がった頃、自分たちが注文列でなかったことをその時に知ったふうだった。今度は男の子らとちがったリアクションで動きは小さいものの、照れ笑いなどはなく明らかに二人はかなり思い詰めたような深刻な表情で二人で向き合ってすこし距離を縮めてひそひそと話始めた。つくりとして奥まで列を確かめずに入り口にある列にならんでしまうと起こり得ることや、曲がり角のひらけたタイミングで気づいて動揺しているあたりやはり注文せずに並んでいた人たちなんだろうけど、、注文してあるのかしてないのかはこっちは知らん。声かけて見当違いだった時の自分の存在の怖さを考えるとやはりまだヒントが必要。神経を向けていると。。なんとその二人も居た堪れなくなってお店をそのままでてしまったのだ。
無力。。となんか二組のそんなことでもおおごとで諦めてしまうほどの繊細さというか若さというか、おそらく気づいていながらも保身で止められずにいたことなのか、彼らのいじらしさなのか、若さ以外に、東京駅ということでかってな地方出身、初スタバ設定を仮説で当てはめてみると、彼らの繊細なピュアさが傷ついてしまったからなのかちょっと説明が難しいいものの胸に込み上げることがあった。
きっと並んでいた時は友達と楽しい期待に膨らんだ時間があったにちがいなく、もし間違えてショックだったせによ並び直せばその期待が続くはずだったし手に取った商品で楽しい記憶ができたはずが、繊細さがゆえに退店してしまってはその期待どころか、苦い記憶になってしまったかもしれない。声をかけられればちがったかもしれない。
クーポン利用でワクワクしていた気持ちもその瞬間には忘れ、気持ちを切り替えてもどこか心にひっかかっている。
自分が並ぶだけの短い時間に二組も。お店は列についての工夫や案内など対策されており、過去もよくある問題なのだろう。それでもやっぱ緊張してたり小さかったりすると見落としてしまうのかもしれない。東京駅自体の人の多さや情報量の多さに加えて目の前の行列に種類があるなんてあまり一般的じゃないからかも。スタッフさんはそれなりの人数はいたけど接客と大量のドリンク作りに追われていた。行列が長いならレジの時間短くするためにもときどき外にでてメニュー配ったら回収や再配布の手間が増えてしまうけど注文時間や注文列ではメニュー選んでいる人が目に見えてわかるようになるので列の案内、ミスも減らせるのかもしれない。
なんやったらもう東京駅という場所柄なれない人の多さも考えるとなりふり構わず絶対に見落としができないほどの位置や大きさで目立たせる必要さえあるのかも。
でも、最高に報われたような喜びだったのは、注文したものをゲットしてお店を出て一階に降りる間際にさっき退店してしまった一組目の男の子たちがまたお店に入店していたのをみることができた。受け取り行列を並んでもらうにはそこそこ時間がかかったのだけど、どうもお店を出たときに眺めていた看板は「スマホで注文できる」的なポスターで、どうもそれをみてから一旦離れて、その場にはいられなかったものの注文して再度挑戦しにきてくれていたこと。やったぜ。ナイス。書いていておもったのは彼らにとって俺はだれやねん状態やけれども、ひとつ救われた気持ちになった。
でもやっぱり不思議な感情が込み上げたことは事実だし、その後もすこしひっかかるのはその時の彼らの動揺を想像して共感したり何もしてあげられなかった後悔なのかなあ。
救われつつもすこし切ない、自分も初めてのところにドキドキしたりはめちゃめちゃするけど、若さやピュアさがそのような繊細さを生むのかもなあと自分の胸の心にすこし爪を立てるようにして印象的だった話の記録。