学生の頃、テレビで音楽専門番組をみていた時のこと
普段はMusic Video がひたすら流れるチャンネルで時々トーク番組などバラエティー要素もあった。
今でも忘れられないシーンがあって
ゲスト含めて3人ほどのトーク番組で有名漫画家さんがきた時の回。
漫画家とMCの男性二人とMC女性一人で互いにだったかMCの男性をだったかデッサンしようぜって話になって、
当初はやっぱし漫画家で絵がうまいんよね。その凄さをみてみたいよね的な流れだった。
で、実際描き終わるとその漫画家さんが描いた絵がそら素人と比べると上手いのと画風もあってデフォルメされてる感、対象だった男性MCが美化されてるようにも見えた。
でその場もやっぱりうまい。すごい。すごいいい風に描いてもらってよかったですね〜!なんてみんなで笑ってるシーンだったんやけれど。
和やかな雰囲気で雑談が続く中でMC女性がその男性MCが描かれたフリップを抱えじっと眺めて少し動揺し始めていた。
ずっと今まで共演してきた男性MCについて何も感じたことなかったのに、この絵をみてからその男性MCを見ると好きになってしまいそう、少なくともその絵に恋心を抱き出している自分がいる。というようなコメントをしだした。
ゲストやしプロやしできまったお世辞の類ではなく言い方、とその表現が真に迫るものがあるなぁとどんどんと番組に惹きつけられていった。
男性MCもおいおいこっちが本物だよーとか3人で一緒になって笑っていた。そこで漫画家さんが口を開いたのが、
実際描くときは本当にその人を好きになってから描くようにしている。と説明した。
!?話ができすぎている。台本ナノカ。
続けて、それはもうたとえでもなんでもなく実際にその人を完全に好きになっている状態になるので、その後にその気持ちを抑える。冷静になるのがすごい大変。と笑いながら説明した。
うわ。これはまじや。
でつかさずまた女性MCはフリップに目を落とす。心を奪われた人が何度もそちらをみてしまうといった様子。
完全に伝播してもーてあるやん。絵に表現しつつも外にその態度を表さないようしている漫画家さんと食い入るように眺める女性のリアクションの違いがリアル。
その後進行で話題を変えるためにフリップを下げる時もその女性が一時的でも手放すのを惜しんだほど。自分はその女性のような思いでその絵を見ることはなかったけど、同じ男性ということ意外に現場で生のものを見るだけでもその迫力はきっと違うのだろうと思う。和やかなものの不思議な空間ができあがっていた。
絵の上手い人は世の中にいっぱいいるけどその中でも1000万部を超える漫画を描く人ともなると多くの人の心を事実動かせているわけで、そしてその漫画家さんテレビではよく女性を描く印象だったのだけれど今回は同性の男性MCに対して描いた絵でやってのけたのを見てプロとしての凄まじさを喰らった。
その女性MCの素直なリアクションのお陰でこの拘りをたまたま知れたわけやけど、これってデッサンに限らず何にでも当てはまりそうな気がする。
絵でも、文章でも、写真でも、音楽でも、ビジネスでも、教育でも、
その人が見た景色、世界や心が何かしらの形で伝播する。
今回はたまたま説明を聞くことができ、言葉として頭で理解することができた。
でもその前から実は人間の深層心理には頭で理解できていなくとも感じ取る能力があるんやろうなあと。
自分が面白くなさや興醒めするものの中にこういった部分のものが欠けているのだろうし、
小手先ではない大事なことだと思える力強さを感じたエピソードだった。
この先に思いこじらせ考えついたことや批判的なものまであるので
今回のテーマにまつわることを気が向いたら書いていきたい。