Skip to main content
search
0
Life海外安全

撃つのか撃たれるのか動悸が止まらない人質国会議員救出訓練の瞬間

By 2022年11月4日No Comments

前々回のブログ記事の話の続きである施設で訓練を行うことになった時の話。

前回ブログ「人生初の市街地想定訓練に一般参加一番最初に学ぶべきなのはマズルコントロール

そこは平たくいえばサバゲーの練習場。ただBB弾であることを除けば実弾の実践でも応用できる。むしろ成り立ちとしてはそのような実践を想定した元警察や自衛隊の特殊部隊におられた人たちが運営する場所なので、現役の人たちも練度を上げるために自費で通ったりする施設である。

前回は銃口管理の深さについての学びと自分の経験とを重ねて書いたが、今回の内容は訓練中に鼓動が高まり動悸がした、息をころすのが難しい瞬間があった。自分でも意外なタイミングだったのでそのことについて書いてみたいとおもう。

訓練は建物にテロ組織が国会議員と突入する部隊の一員となって参加するシーン。

初めて持つ重いエアガン。ガスなのか電動なのかもわかってないとりあえず、BB弾以外にわかる情報は自分にはない。人質が議員とSPである。テロや人質役救出部隊の役割は当日の参加者で都度割り振られる。その時にある程度人数などは把握想定できるが、それ以外の設定は後で伝えられたり情報が不十分な状態から始まる。徐々に主張や交渉内容が見えてくるが実技訓練であることや数をこなす必要があるので基本はアドリブ即興で作られていく。

訓練内容な流れすらわからないone of them のわい。新米警察として裏口から侵入する部隊の最後尾にくっついていく。

怒声が響く。銃声がなり始める交戦が始まっているらしい。「味方だ!!!」1人の男性が大声で叫ぶ。

フレンドリーファイヤ。味方同士の撃ち合いが起きてしまったのだ。絶対に現場では起こってはいけない。長く一緒にいる部隊員などでは絶対に起こらないようにするし、いろいろ前提が違うが実感としては十分に起こり得る。

死角の多い建物に突入する時には連携プレーが重要なのでおそらく練度の高い人が二つの部隊の前方にいたはず。しかもこの訓練を受けてる人たちの練度は決して施設内でも低くない。施設がレベル高すぎるようなのでおそらく全国ではかなり練度が高い部類の人たちになる。それでも起きるのだ。

考えてもみてほしい。あなたが今手に持っている銃が本物で撃てば相手が死ぬしその前に撃たれればあなたは死ぬ。はい一機死んだ。では済まされない。人生そのものがその時に終わるのだ。

テロ組織のレベルやシチュエーションなどにもよるが覚悟があって法を既に犯して交渉している状態である。どこに立て籠もっているのか人質がいる部屋がどこかわからない状態の緊張状態で、隠密の場合に相手から見えない様にする駆け引きのある前提で視線や銃口がこちらに向いた瞬間。

あなたはその瞬間にそれが味方か敵かわかるだろうか?

何度も言うが即興性が問われ当日初めて顔合わすという現場とは違った前提が重なっていること。または訓練だからこそそういったことから体験として学び得るものがあるので積極的に行っていくことの重要性は前提として現場とは異なる。

???どうやら打ち合ってるのは味方同士なのか?と建物にやっと入ったばかりで立ち位置を探している自分が口を開けながら後ろから覗き込んでいると。

「そちらから裏へ回り込め」と振り向き様に前方の経験者の方から指示がはいる。も。

「ああ、やっぱいいや」とNewbieであるわいの顔を見た瞬間我に返ったように撤回した。

でも最初の指示でなんのことかわからんけど役割をもらえたっぽいので興味本位でそのまま行くことにした。部隊の向かう方法とは若干逆方向の部屋に進んで入って進む。テロ要員が一箇所に集まってるとも限らない。曲がり角の度に人がいないか自分なりに確認をしながら、でも先日でブログで書いたように自分はしてるつもりで何回もヘッドショットを食われてるからできていないだろうけど、練習と気休めのためにできるだけ急いで部屋を回って行った。

部屋と通路、曲がり角をいくつか経つつも遭遇はせず。進んでいくと、通路の先に人影が見える。人影はこちらを向いておらず自分から見て右手、自分が建物に入って指示を受けた場所の方だ。

自分が見てない間に自分がいた部隊がうまく攻め押していたのか?ただ部隊にいた人ではなさそう。右も左もわからないのでもう一つの部隊の顔や服装までもわからず。味方が合流したのか?

ただ、もし相手がテロ人員であった場合にこちらを向いた瞬間自分は殺される。相手がこちらに気づいていない瞬間。

ここで敵だった場合に先手を打てればかなり戦況を有利にできる。銃を相手に向けたまま怒鳴って銃を捨てさせるのか?言ったところで相手がそれを聞くとは限らない。今日の参加者からして徹底的に練度の低い自分が相手に気づかれて視界に入っていれば即死なのは嫌なほどそれまでに経験している。あまりにあっけなさすぎて笑えるほどである。つまりもし敵でこちらに気づけば死ぬ確率が高い。とりあえず隠れる、逃げれば難を逃れるがミッションクリアには重要な立ち位置にいる。

頭がフル回転する。この訓練では参加者の練度には法律遵守も含まれるのが大きい。例えばテロっぽいが理由ではもちろん撃てない。人質が走って助けを呼んでこっちに向かってきた時に、突入部隊からすれば人質かテロか一切の情報も保証もない。わざと紛れ込んだり、捨て身で向かってくるのは十分に起こり得ることのため、法律で許される限りの手段で制圧にかかる。など。

決め手が欠ける瞬間の中。味方の部隊の居た陣地に向かって前方にいる人影が銃を構えた。そして味方から銃が撃たれ明らかに交戦が始まった。ので瞬間の遅れをとって相手に気づかれないのを祈りつつ銃口を上げていくつか引き金を相手に向けて引いた。

2、3発当たりケアレスミスでこちらに気づかなかった相手役の方が驚いた顔でこちらを向きつつ手を挙げて膝をついた。

それを確認して、次は人質か残りのテロ組織を探す必要がある。さらに味方の2部隊とは違った角度の裏側へまわるべく近くの曲がり角を確認しつつ少し身を下屈めて進む。それがあってるのかはわからないけど的を小さくしたかった。その次の瞬間さっきのフル回転で考えた影響なのか、その時の緊張感、臨場感のせいか次に進むべき足を進めた時に心臓の音が聞こえるくらいになっていた。撃つまでは聞こえていた記憶はない。そして息が上がってしまってかなり荒めになってきた、呼吸音で相手にバレてしまうだろうと思えるくらいになった。曲がり角の先や一つ部屋の隣なら聞こえてしまう。抑えようとしたけど急がないといけないし、どうも完全には治らない様子だったので兎に角進むことにした。人質役の方がいらっしゃる部屋につき縛られて横たわっている。殺されるかもしれない瞬間に助けたかった人質役の方にまだ生存者がいた時に瞬間の和らぎを感じつつ、本当ならその時すべきやりとりやテロ人員の行き先や状況確認などが必要なのだろうけど何したらいいかわからないし、サーフィンのアウェイの時の同じく見られた時に「こいつ何してんねん」と思われてそうな被害者意識で居た堪れずにただ次の標的を探しに移動しようとした時、訓練終了の合図。

考えてみればテロの人員をある程度把握しつつ少人数制であることから一箇所からの銃口だけではなく、いくつかの方角から攻め入られると困るなあとスキル的要素もおもしろい。例えば読み手のあなたが人質と2、3人の実行犯で立て籠もっている場合に複数人でも一つの方向から向かわれるよりも右や後ろの窓やドアからも攻め入れられたらどうだろう?どこから何人くるかわからないケアしなければいけない変数が増えてしまう。ちなみにその窓口を減らせば自分達の逃げ道が減り袋小路にもなる。場所の駆け引きも映画などではなく、当事者となることで得られる情報量は多い。終了後の意見交換ミーティングでもテロ役の方たちは裏側の意識ができてなかったそうで、指示を自分にされた方の咄嗟の判断とで貴重な瞬間に巡り合えた。なんにせよあの動悸はなんだったのか。である。ちなみに人質役は全員救出とはいかなかった。

確かに小走りで移動はしたもののドタドタとは走れないし確認しながらだから全速力とは程遠い、構えて銃で撃ってまた小走りしただけ。体力的なものではない。おそらく極度の緊張からきたのだとおもう。当時も息を整えるためにまず原因を考えたのでそのことくらいは理解していた。けどなぜあの瞬間だったのか。他にも撃たれたシーンや後で人質役をするシーンもあって迫力のあるシーンはあったはず。

おそらく原因は「臨場感が一気に増した瞬間だった」のだろう。

それまでどこかゲストとして参加していた。できなくて当たり前、撃った撃たれた、基本は死んでからゾンビになって中を観察させてもらったり、部隊役で入った時も後ろでただくっついていくくらいのもの。

でも、最初のステップとして役割を与えられて無意識レベルでミッションクリアの責任感が生まれた。移動は誰も頼ることができずに自分の命を守るために自分で考えなから動いた自主性。そしてなにより通路の先に見えた人影を敵と判断するまでの瞬間が一番緊張した。表現として~~役とここでは書くが、その瞬間に考えられることはそう多くなくただ自分が殺されるのか撃つのかの2択を迫られてる。訓練とはいえゲームではないので撃っちゃった。てへっ。とかテレビゲーム内でわざと友達を撃って「おい」とかベタなじゃれあいでは済まない。

丸腰の人を警察や蜂の巣にしてるシーンは聞いたことがないだろう。現実では犯罪者である相手には守るべき法令や縛られるものが無く、犯罪者かそうでないかの判断も難しい上に、手段が過剰になっていないかなど、法律で許される範囲で動く必要があるので情報が少ない現場ではかなり制約が多い。味方の部隊に発砲しているシーンでようやく素人の私でも大丈夫だろうと意を決したが、役割と責任感をもって自主的に動き始めた人間が法律という現実を意識しながら生き死にを迫られた瞬間だったのだ。あまりにいろいろ考えすぎたせいで現実はこちらに気づかない相手の側面を撃ったはずなのに銃口をこちらに向けているバージョンも脳裏に焼き付いている。こちらに気づいた場合にどうするか。にもかなりリソースを割かれたせいだと思う。おそらく考えずにゲーム感覚でとりあえず撃ってても極度の緊張はなかったのかもなとも思う。味方を撃つ世界線。敵でもまだ撃ってはいけないシーンで後で世間と所属する組織から大バッシングをうける世界線、殺される世界線。確認を重ねるまでには全てがあり得る。

状況に飲まれてしまう様な訓練をしても実際の現場は死と隣り合わせであり、今回のようなケースで万一に助かったとしても相手は赤く染まり命を絶つことになる。さらにまったく違う世界の話にはなるが、「現実を想定した訓練の瞬間・刹那」というのは上記のような極論に迫られるせいか思考が単純化しやすく、全く平和ボケした人間が急遽その世界に少し近づきその世界を垣間見た瞬間だったのかもしれない。