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BusinessSociety

イノーべションで雇用は減るんか増えるんか

By 2019年7月15日No Comments

ジムで突っ立ってる時に、やはりトレーニングを手伝う立場で一緒にやるお客さんとは仲良くなる。

そのうちに若い大学院生が週に通う頻度を上げて通っていて

自分やまわりのモチベーションをあげるくらい真剣にトレーニングを行なっていた人がいる。

聞けば経済学者となるべく自分の掲げた研究テーマに取り組み、京大の大学院からアメリカのどっかニューヨーク州にある大学へいく間の期間に通っていた。トレーニングだけでなく就職していく友人や一人向き合う答えのない研究、また海外の大学への門戸を叩いては合格通知を待つ日々。孤独とも戦っているようで無我夢中にトレーニングをしていた時に一緒にいたり話したりできて自分もとても楽しかった。

ストレスの発散をしにトレーニングに打ち込みつつも一方で次の日の脳への血流量も意識していて、学者というのは思考力のアスリートのようなものだなと健康管理も聞いてて思ったのと、大きな筋肉の修復に血が流れやすくなると普段できる簡単なことが少し時間がかかる。というのには後々納得した。

例えば、トレーニングで追い込んだ直後は酸素不足にもなってるから一定時間たってもおもついている言葉が出てこないことがある。

言われてみると次の日に体がだるいだけでなく、頭の中がもやかかったようにおもう。実際食事のあとに胃に血流が流れることで思考力が下がるのは一般的だが同じようなことのだろう。その会話もあって自分は限界超えるくらいに、また限界に近くための細かな回数設定などをしたトレーニングをしようとは思わなくなった。やりきると筋肉痛も来なくなる人たちが常連さんにもなるといるけれど、ネットとかでもみるような知識生産者でありながら体ムッキャムキャバッキバキなのはバケモンクラスやなと尊敬はするけどあまりそっちに興味は今のところわかない。

で雑談している時に全く興味がない経済学について、彼に興味を持つことで学べないかなと思った。自分が人材業界出身で当時そこで新しいサービスができないかを考えていた時だったので、それに応用できそうな理論の存在などすこしずつ興味が芽生え、苦手な本も読めそうな気がしたのでその理論について初心者でも読めそうな推薦図書、や情報源を聞くことにした。

するとそのうちにテレビでも見たことのある阪大准教授、経済学をわかりやすく説明していた印象から彼の本を探した。でも意外と当時少なかったのと応用は別として結局数式にぶちあたるのでもっと一般のど初心者でも読めるのものがないかなと思い、たどり着いたのが著書ではなく解説で参加していたこの本。

ここからは彼との出会いとは別に本の内容にについてつづきを

「年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学」

原題「The new geography of jobs」

邦題が昨今の格差社会だの煽りをくった名前なので好きじゃない。

内容を読めば多くの分野の人たちにも参考になる情報が多いんちゃうかと思う。

 

 

日本でいう雇用といえば製造業、建築などが代表していると思う。ただ全雇用に占める割合は年々と減少している。それはどの先進国でいえる現象。もちろんグローバル化によってその雇用は途上国をはじめとした海外へ流れているみんなが知ってること。

んで日本のイノベーションは技術革新、過去からの延長線上にあるものとされていたがさすがに今ではイノベーションとは革新的な効率化、破壊的イノベーションという意味合いで使われていることも多いと思う、ただ一般的にそのイメージは非常に悪いんちゃうかなと自分はおもってる。

それは効率化によって多くの仕事が奪われてしまうという発想。社会善よりかはどちらかというと悪。自分も同じ印象を抱いている。

でもシリコンバレーらを中心としたイノベーションによってアメリカは今日まで経済成長を実現している。一体何が違うのか。

アメリカでもフォードやGMのような巨人の代わりをハイテク産業が勤められないという認識はされながららも、雇用数は過去10年で7倍強、同時期のアメリカ経済全体の雇用増加率を比べると200倍以上あるという(ECサイトの配送スタッフなどはその雇用に含まない。ソフトウェア産業においてもプログラミングなどの単純な作業は海外へ流れている。)

日本のITという言葉の胡散臭さにはそう思われても仕方のないサービスが多かったと思うし、そのことについては今は触れないとして、この本によるとイノベーション産業に携わる雇用は生産コストよりも大きなものを生み出し賃金も増える、そしてまた雇用が増加する(インターネット・ソフトウェア・サイエンス・製薬)とその増加に合わせて、彼らの住む地域にまた理髪店やレストランなどの雇用が新たに生まれる。という循環についても触れていた。

物理的に雇用がかつてないほどに増え、またその生産性によって地域も恩恵が得られる分野になっている。

その集積によって知識や人材の循環の恩恵にも恵まれるため企業も新しい分野への挑戦がしやすく好業績をあげられる確率も高かめられた土壌がある。

イノベーションによって雇用が減るんちゃうかという問いについては、この著者の分析によると。ハイテク産業の新たな雇用1件に対してサービス関連の新規雇用が5件。伝統的な製造業の雇用1件に対しては1.6件と地域に与える雇用の影響力が3倍も違うという。

思えばシンガポールでは常に外国からこのハイテク産業、スキルや知識の専門性、ハイキャリア層にワークビザを提供してた。せっかく取得できた後もあっけなくビザの更新ができずにビザ切れて帰国する人も常にいる。国民への雇用機会とこの本で触れているような新陳代謝が理由かと。大学は世界でもトップレベルの必要があったりキャリアも必要だったりと、犯罪を主とした移民問題というのは実際問題やる側からするとコストが高すぎてやるメリットが低いのも治安を保つ一つの要因になってたと思う。

逆のブルーカラーの仕事は最低賃金制度がないこの国では天と地ほどちがった。それでも彼らは母国の何倍かは収入で得られたので仕送りも十分にできる。まわりのアジアの国を実際に見て回ってみると一応winwinには見えた。

国内や国外でそのような外国人人材を利用したアウトソーシングにも単に代替財なのか補完財なのかによってもちがうという。雇用を奪う、減らすものなのか本社、発注側の生産性を高めて競争力を増し給料が増えるうんうん。マシュースローターゆう人の研究によればアメリカ企業が一人分の雇用をアウトソーシングするたびにアメリカでは二人分近くの新しい雇用がうまれてるという。ほんまかいな。でもおもしろい。シンガポールもこの使い分けがうまいように思える。今の日本移民政策のニュースを聞きかじる限り論点のレベルがかなり低い。

ぞっとするのはその逆も存在し地盤沈下する地域もあるということ。地方もつらいし危機感にもがく神戸市に思うところがある。比較的大阪がこの点について明確な意志をもって取り組んでいるようにみえる。

専門的職種の労働市場の厚みの重要性をコワーキングスペースなどの小規模なものだけでなく、地域や国策レベルでも今の世界では必須の知識でないかと思えた。地域のイノベーションとかふわっと標榜する人はいてもそれがどれだけのインパクトがあって地域や国力にとっての死活問題にさえなり得ると理解してる人が今の政治家にどれくらいいるんやろう。

この本の著者も、日本が1980年代の世界のハイテク産業を制していたと評している。ただその後の世界からの最高レベルの人材資本の獲得がアメリカのようにいかなかったと。

日本の求人広告費用が他国の先進国の数倍〜数十倍したり新卒などの特異な文化についても頭をよぎるが、

最近新卒や優秀だと思われる人の採用の年収に注目があびている点について。

Facebook創業者のマークザッカーバーグは「本当に飛び抜けた人材じゃ、まずまず優秀な人材より少し優れているという程度ではない。100倍は優れている。」

この人材獲得の価値を自分を含めた一般人にはぴんと来ずに金額が一人歩きしているのだと思う。(日本にはこのレベルの天才はいっぱいいると妄想しているが外的・内的環境によって発揮できない可能性も大きいと考えている)単純なスキルだけでなくアイディアを発案し実現させる力などにも価値を置かれている。

現実的にそういう人材は存在するしいくらそこにお金をかけたとしてイノベーション産業、ハイテクや製薬などであればグローバル市場でビジネスを行えばコストが他の製造業と比べてみても限定的で新しいアイディアに対する経済的見返りを劇的に増やせる。というしくみだそう。著者は続けてグローバル化が進むにともない、イノベーションへの投資が空前のレベルに高まっているのも不思議ではない。との点にも納得。

日本のイノベーション分野もアメリカと比べると桁が違うものの(歴史文化の他にみてるマーケットも違うのでしょう)、企業のイノベーションにCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)など新規開発外部まるなげ施策かなとか斜に構えた見方をしてしまっていたり、アメリカでも大きな金額で動くのには巨大なファンドがプレイヤーにはいっているほどのマネーゲーム的要素かと思っていたりするけれど、この本の視点を通じて本質的な社会と企業のニーズを知れたような気もした。

個人的にはイノベーションにはポジティブな感情を抱きつつも、社会としてそれが受け入れられるかは懐疑的だったりした。それがこの本を読んでみて事実やデータを通じて社会的メリットを知れたり、それぞれの根拠となるデータを鵜呑みにしないとしても新しい考え方をもつことができた。また漠然としていたものが重要なことであると意識できたことなど個人的に楽しい内容だった。